ここに民俗学が好きなお医者さんがいるみたいなので、
古流出身の民俗学ファンから少し・・・

そうした知識を求めているのなら、剣道の技を見るよりも
各流派の古流剣術の技や身体文化を見て行った方がいいと思いますよ?
そもそも日本の武術は神武不殺の教えがあるので、敵と言えども簡単に殺しません。
刀鍛冶から剣術におけるまで全て神道儀式と関連付けられて発展してきた文化なので。
柳生新陰流などは明確に殺人刀の否定と活人剣の思想を提言しています。
具体的には、狙うなら籠手よりも指とか。命を奪う必要はなく刀を握れなくすればそれで事足りると言う教えです。

ウチは新陰流の分派なのですが、殺す技もなくはないけれど(そうした時は首を薙ぎますが。掠るだけで致命傷なので)
例えば、わざわざ肺を刺したりせず、刀の柄の部分を肺の急所に当てて、勝負がついたと看做したりする型があります。

そうした活人剣の思想を取り入れない合戦剣術なら、鎧の隙間を狙う技から
刀を肩に担いで敵の鎧から丸ごと切り込む力技まで、或いは戦場で刀を落とした時、壊した時の対処法なども
流派によっては残っていてそれ専用の刀もあるみたいです。
当然構えも技も、今残ってる多くの古流とも違う物もあり、剣道とは何もかも違う別物と言ってよいでしょう。

まあ、居合などをやっていれば、骨や首は思ったより簡単に落とせるな・・・と云う感覚はあると思いますが。

話を戻せば、柳生の活人剣の思想は、更に政治思想にまで及び、戦時に如何に兵を有効に運用し、
或いは平時には如何に人材を活用するのかという統治や帝王学まで浸潤する思想ですので
そうした思想が生まれた背景を色々と考察してみても興味深いでしょう。

せっかく特殊な専門知識や経験を持つ方の登場ですので、
何か面白い考え方や、疑問、発見などがあれば、また宜しくお願いします。