大陸の物の中にはいまでもズバリ五枚派詠春という物もあり、白眉拳だけでなく、五祖拳とも酷使しています。この五祖拳も、鶴拳系だという伝承があり、やはりこれらが一群をなしていることがわかります。
鶴拳から詠春になったときに、護身術としての改変が大幅に加わったのだという話です。
それが女性開祖説の真意であり、また、それまでに伝わっていた兵器や練功法を失くした理由であろうと推測されます。
ドイツ人の詠春拳の師父が言うには、詠春はすぐに出来るようになるが、多くのものが足りないのだとのことです。
確かに詠春には、練功法、養生功、思想、四大兵器など、多くのものが確かに薄いように聞きます。
そこでその師は、別の驚勁系拳法に再入門をしたのです。
その拳法と詠春拳とを二人の人間が同時に始めたら、最初の数年は詠春派が勝るのだとその師は言います。
それが詠春拳の最大の長所だとさえ言っていました。しかし、年期が経つにつれ、実力は逆転し、どんどん差が離れてゆくのだそうです。
私の知っているだけでも、多くの熱心な詠春拳の継承者が、足りない物を求めて他武術、格闘技を学んでいます。
師は香港人ですが、現在は香港での教伝をあきらめていると言います。
曰く、いまの香港人は伝統を大切にせず、すぐに使える物ばかり求めて、使えるようになったらその段階で辞めてしまうからだそうです。
現在その師は、ドイツに拠点を移して世界中の熱心な格闘家やバウンサーに伝授をしています。
私の師も、元は詠春拳をしていました。そこから洪拳や白眉拳などに遡っていって総合格闘技に至ったようです。