3.千田海(明治大4年)
千田も群を抜いた安定感でここまでの大学剣道を走り抜けてきた。
大学1年生にして名門・明治大学の看板を背負い関東個人に出場!惜しくも序盤で敗退となったが、早い段階で上級生と剣を交えた経験は彼の剣道の糧になっているに違いない。
星子や牧島、国士舘の矢野のように強烈な印象に残る技こそないものの(千田には失礼な話ではあるが)、堅実なゲームメイクで気付いたら上位入賞を果たしている感じだ。
その証拠に、全国学生選手権では2年連続でベスト8に進出。
団体戦でも、同期の山田凌平と共に1年時から常にチームの核として勝利に貢献してきた。
そして、昨年の全国選手権には故郷の宮城県代表として参戦。
近年では竹ノ内の最年少優勝をはじめ、梅ヶ谷と宮本のベスト4進出や、3年連続出場の真田の存在が光る中で、1回戦敗退の千田はさほど話題に残らなかったかもしれない。
千田としては「おいおい、勘弁してくれよ」と言いたいだろうが、学生が選手権に出場するだけで持て囃された時代から、あくまで結果を求められる時代に変わったことは否めまい。
むしろ、それだけ学生に対しての期待が高まりつつあるのだと、ポジティブに考えようではないか。
千田が最後のインカレで優勝を目指すにあたり、障壁となるのは上段の選手だろう。
安定感抜群の千田だが、ヘンリーや平野、緒方(愛媛大卒)といった上段の選手との試合では、自分の剣道ができていなかったように見える。
他の地域からの出場選手についての情報をまだ私は把握しきれていないが、少なくとも関東からは、昨年準優勝の平野(専大)や、文武両道を貫いて見事な戦いぶりを見せた佐子(一橋大)らが出場する。
千田にとって目の上のたんこぶであるとも言える彼らの攻略法を見つければ、一気に優勝までの道が拓けるだろう。