最先端の遺伝子研究で運動能力を決定づけるDNAが発見されてる


 キャンベラにあるオーストラリア国立オリンピック選手トレーニングセンター『オーストラリア・スポーツ協会』の研究者たちが、スポーツ選手たちについて調査を行なった。
 その結果、α-アクチニンというタンパク質に関係する遺伝子が、選手が短距離走(スプリント)向きか長距離走向きかを決めていることを発見した。

 この研究結果は、『アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス』誌の7月23日号に掲載された論文に記されている。
 論文によると、「運動競技の成績に遺伝子が大きく影響していること、および瞬発力と持久力という相反する運動能力の間に進化的に見て『相殺関係』があるということを裏付ける証拠が集まっている」という。

 この論文によると、短距離走者はα-アクチニンに関連する遺伝子にACTN3というタイプを持っていることが多く、長距離走者はACTN2という別のタイプを持っていることが多いという。

 これとは別に、キャスリン・ノース準教授(神経遺伝学)をはじめとするシドニー大学の研究者たちは、一流の短距離走者の中には、ACTN3遺伝子を1個ではなく、2個持っている選手が多いことを発見した。
 ACTN3は、「速筋」と呼ばれる筋肉繊維――グルコースをエネルギー源にするもので、すばやく力を出すのに欠かせない筋肉――の中でのみ生成されるタンパク質の遺伝暗号を持つ遺伝子だ。