(注)
彼は有名な人物だった。後年私があることで本部先生のお伴をして、彼の家を訪ねたことがあったが、そのときは、よほど前のことに懲りたと見え、本部先生に対して丁重そのもので、下にも置かぬ態度だった。
「かけ組手」は一種の自由組手で、何しろ、互いに前手をかけ合っているので。間合いは至近、何処へ来るか判らない相手の攻めを防ぐのは、なかなか熟達を要する。
勿論、防手は攻手に瞬変する。
本部先生は修業時代、盛んにその師や同門の連中と、この「かけ組手」をやられた由で、当時は唐手の稽古は庭だの人気のない戸外などで専らやったものらしく、雨が降ると、家の中で座ったまま、この「かけ組手」を盛んにやられたという。
おそらく前記の「有名な人物」は、この「かけ組手」などやったことがなかったのではないか、と私は考えている。
(中田瑞彦・著)

読む限りでは双推手っぽいね
https://www.youtube.com/watch?v=ZVpo0BGbRIc