>>949
いい加減面倒なやつだ。

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自分が東京に出て来た頃、国の者が東京に出て来ていて、あるところで盛ん
に唐手を教えていた。このある者は、自分が国にいた頃は名前も知らなかった。

当時、およそ名のある師について唐手を相当以上、修業したものは大抵、会っ
たことはなくても、名前くらいは知っていたのだが……。

自分は国の者の案内で、その男が若い者に教えているところに行ったら、盛
んにホラを吹いていた。そこで自分は“こうやったら、どうしなさる”と彼の手を
とって、「かけ組手」の形をとらせた。彼はマゴマゴしているので、突いては気
の毒と思い彼の自分にかけている手に「小手返し」をかけたら、彼はステンと
後ろ向きに倒れた。

彼はポッポと顔を真っ赤にして立ち上がり、“まあ、一っぺん”と言うからまた
「かけ組手」の形となった。彼は相変わらず、マゴマゴしているので、また「小
手返し」をかけたら、同じように倒れた。彼はそれでも、もう一度と言うから三
ベン、同じ手で投げつけられることになった
(中田瑞彦『本部朝基先生語録』1978年)。