「俺が会社とウチの往復に電車を使うようになったらMugenは終わりだ」

確かにこの3年間、仕事、私生活でトラブルが続いてきた。たった5年で1億4000万円の赤字に落ちた。殆どが俺の浪費、特にHawaiiとNYに消えた。
道楽のGibson guitar 収集はたかが1000万円には届かない。
もっとも金融機関に借金はない。代表の俺が個人的に債務を貸し付けた。貸し付けた。その分、ウチの銭は減った。
女房は当然、怒り泣いた。そんななか、20年以上にわたって俺を支えてくれた塚本佳子がMugenを離れた。
俺は「誠実の塊」塚本から三行半を突きつけられたのだ。俺は愛する塚本に、何一つしてやれなかった。俺は誰よりも大切な「オンナ」を守ってやれなかった。
「副代表」塚本が消えたMugenは混乱状態に陥った。私は塚本を失った喪失感からまさに生ける屍の如くフテ寝を続けた。
だがMugen には数人のスタッフが事情も知らず、毎日が動いていた。倅は大学を休学し、極真空手を諦めて「社長」として会社の回復に駆けずり回った。
そして3年後、赤字を埋めるのに成功した。
その間、俺は自由になる銭も底を尽き、「隠居」を気取った。銭がないのに自宅とMugenの銭をくすねてはファーストクラスでHawaiiに行った。
同じようにプライベートで苦しんでいた松井章圭が付き合ってくれた。虚飾の仮面を被りふたりで絶望の傷を舐めあっていた。
その苦しさに耐えきれず俺と松井は憎しみ合うことで自らの誇りを守った。

( ´艸`)ムププ