あらゆる問題を「日本人対それ以外」という二項対立で捉えるよう思考を訓練された人間は、
過去の歴史についても「日本人にとって有利か不利か」という単一の尺度でのみ理解する。過去の失敗を反省して将来の糧にする、という一般的な歴史学習の視点がない。ゲームの勝敗を競うように、歴史を操作する。

歴史問題を「日本人にとって有利か不利か」でのみ理解する人は、南京虐殺でも慰安婦問題でも、当時の日本軍や日本政府の責任を認められない。
認めると「現在の日本人にとっても不利になる」と理解する。日本人なのに認める人間は「日本を不利にする裏切り者」と見なして「反日」というレッテルを貼る。

歴史問題を「日本人にとって有利か不利か」でのみ理解する人は、南京虐殺が「あった」と書いている本に「自虐史観」とレッテルを貼って価値を全否定することが、
日本人にとって「有利になる」と信じている。反省的に過去の歴史を振り返るという発想がないので「反省イコール自虐」としか認識できない。