河岸忘日抄  堀江敏幸/著

異国の繋留船でつむぐ、ゆるやかな言葉の航跡。第57回読売文学賞受賞!

ためらいつづけることの、何という贅沢──。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった
「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、
本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、
日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説