グライダー「テルミックが恋人」青春ど真ん中
・夕暮れ時、白いグライダーが土手の向こうに消えていった・・・ 土手に登るとそこは格納庫の裏であった。赤いぼうしに水色のジャンパーの女性がなにかをしていた。声をかけてみた
クラブのキャップテンに紹介された。後のことではあるが・・彼女は雑誌の表紙をかざるほどの美人でもあった・・
キャップテンは山路信也といい、「大空で君とぼくとデートをしょう」と私をソロに出したのでした・・・
次の日曜日来るようにと言われ格納庫をあとにした・・・ 今日は日曜日、まだ薄暗い夜明け前、一番電車に乗り込んだ・・一時間ほどで滑空場のある
瀬戸町の河川敷に到着した。空は澄み渡り秋深まる、もう10月も下旬であった。
土手の下には緑のじゅうたんを敷き詰めたような大地が広がっていた。遠くに、赤、黄色のグライダーが
翼を休めていた。これが私のはじめてのグライダーとの出会いであった・・・ 入部早々から、先日もらったオレの赤い帽子がない・・そんなはずはないと捜した回ったが
どこにもみつからない。そんな時、助教官の藤井さんが自分のかぶってる・いきな白い帽子・をかしてくれた
後日、その・いきな赤い帽子・を買い長い期間〜愛用していた・・・ソロに出てもずーと〜
でも、あの赤い帽子どこにいったのだろうー今でも思い起こすと気になる事件だった〜 「準備よーし、しゅっぱーつ」オレはセカンダリーの前席にいた。翼端の彼女がクスクスと笑ってる
まだ、翼端も上がってないのにということだった。
この機体は鳩式55といって張線ばりのかなり古い機種であった。機体は急角度で上昇していった
耳が「つーん」となって変な感覚となっていった。ふわーと軽くなった時、機体は水平なっていた
はじめて長い夢であった、大空の中にいた・・前方には瀬戸町が広がっており
機体は右に傾斜し旋回をはじめた・・太陽がまわりを回ってるようにも思えた・・ 風を切る音がかすかにきこえる・・操縦桿が足の間で小刻みに動いている。
どうも理解できない動きだ・右旋回しながら操縦桿は左にいってる
頭ではどうしても理解できない??それでも鳩式55は右に傾いて回っている・・
こんなのオレに操縦できるんだろうか〜
高度もだいぶ下がり大きく場周飛行をし着陸進入となった遠く前方にみんなが
待っているのが見える。赤い帽子に水色のジャンパーが眼についた。ガタンとスポイラーが開かれ
機体はおおきく沈み着地点をめざしてい〜 太陽も大きく西の地平線に沈もうとしている、撤収だ。土手をぐるりと回りこんだ所に
格納庫があり、ソアラー2機とセカンダリー1機はところせましと格納された。これで
大空をとんだ1日だったのかと我にかえった。夢のような記念すべき日となった。
集合だ、赤い裸電灯のしたでみんな疲れもわすれ生き生きしているかのように見えた
若松〜今度の土曜から整備の方もでてくれ。山路キャップテンから声をかけられた。 「先生、どんな具合ですかね。」刑事がたずねた。
「薬を変えてみました。少しは良い夢を見るようになっている、かな。」医師は答えた。
ベッドには全裸に紙おむつ一丁の若くない男が、胴体と手足を縛り付けられて横たわって
いた。うつろに開いた目は焦点が定まっていなかったが、口元はだらしなく笑っていた。
「事情聴取は無理、ですね。」溜め息混じりに刑事がつぶやく。不意に、糞尿の臭気
を覚え、刑事と医師は一瞬目を見合わせてベッドから2、3歩離れた。
病院の薄暗い廊下を歩きながら、刑事が話しだした。
「あいつを東京へ移せって、指示が来ていましてね…。田舎の所轄ができるのは、
どうやらここまでのようですな。書類がありますんで、来週持ってきますよ。
ところで先生、あいつは事故のショックでああなったのか、その前からおかしかった
のか、どうお考えになられますかね?…いや、田舎の所轄にも、意地みたいなものが
あるんで、ちょっと心残りでね。遺族になにも教えてあげられないのも、ね。」
医師は軽くうなずき、やや首を傾げながら答えた。
「私も所詮、田舎の勤め医者ですからね。ただ、事故直後に採取した血液には、
抗うつ薬の成分に似たものが出ていましたし、通院歴もあったようです。ただ、事故で
頭を強く打ってるので、なんともね。最終的には東京の先生が決めるんでしょう。」
「こちらも最終的には裁判で、ということか。」また力無く、刑事がつぶやいた。
病院の廊下の窓からは、高く寒々とした空と、冠雪した山々が見えていた。
約2ヶ月前、夜のニュース。
**県の小学校にグライダーが墜落し、地上にいた小学生4人が死傷する事故がありました。
今日12時40分頃**県**町の町立**小学校に2人乗りのグライダーが墜落し、
校庭にいた児童を次々なぎ倒しました。この事故で、**町の会社員**さんの長男、**
くん10歳が全身を強く打って間もなく死亡、一緒に遊んでいた児童3人も腕や足の骨を
折るなどの重軽傷を負いました。
グライダーに乗っていたXX大学2年のAさん、20歳も全身を強く打ち、搬送先の病院で
死亡、一緒に乗っていたBさんは頭蓋骨骨折などの重傷です。
警察と航空鉄道事故調査委員会は、Bさんの回復を待って、墜落に至った経緯などを詳しく
聞く方針です。
この日は朝からXX大学OBで教官資格を持つBさんの指導により、学生の訓練飛行が行わ
れており、天候などに特に問題はなかったということです。
>もう10月も下旬であった。
>土手の下には緑のじゅうたんを敷き詰めたような大地が広がっていた。
空を飛ぶには、車の仮免許みたいな操縦練習許可書が必要だ。航空身体検査を受けなければならない。
特に悪いところもないしないはずだ・・視力も1.0はあるはずだ。子供のころからパイロットになりたかった。
受験勉強では、勉強すれば視力が落ちるし何のために勉強してるのかジレンマに落ちたものだった。この悩みは
大学を卒業するまでつきまとった。ま、余談はさておいて、私の住んでる兵庫春名総合病院で受けることにした。
結果はべつに問題はなかった。空に夢を見る者にとって思ったほどきびしいものでもなかった。
さあーこれで操縦桿がにぎれるぞ。夢の階段を一歩登り始めた・・・
入部して間もない頃、一度だけ飛行機曳航の訓練に同行した事があった。曳航機の後席に乗り離脱状況等を確認
するためであった。とにかく空を飛ぶのにがむしゃらな時期でもあった。真っ赤な機体のソアラーはスイス製の
アローという機体であった。キャップテンの山路さんが搭乗し私が曳航機のミゼット乗る事となった。ま、単発機
に乗るのは初めてであった。「バリバリ」とフルパワーでエンジンを吹かしたかと思うと、小型機はゆっくりと
ソアラーを引き始めた。曳航機にびったしついてソアラーも離陸し上昇を始めた。
さすがキャップテン、曳航機と〜シャルウィダンス〜だ。オンコース・・曳航機の翼が大きく左右にゆれたかと思った。
時、離脱だ。曳航機は急旋回降下始めた。少し耳鳴りを感じる。大空を飛んでいる小型機のエンジンのパワーはすごい。
もっと飛んでというと、操縦士は大声で笑って「みんなが待ってるから」と。我に返った。ミゼットは急旋回しながら着陸態勢にはいった。
大地に立って、青空を見上げた時。山路キャップテンの搭乗した真っ赤なソアラーがテルミックをとらえて上昇しはじめた。 答え↓
ttp://www.coara.or.jp/~chemi/chemical/telmit/telmit.html
真っ直ぐ飛ぶのがいちばん簡単と思うのが初心者、真っ直ぐに飛ぶのがいちばん難しいと思うのが上級者だろか。
ま、とにかく飛んでみよう。「水平線に目標さだめて真っ直ぐ飛んでみろ」なんて、後席から声がかかる。
そのとうりにすれば、「オイオイ、ボールすべってないか」なんて、修正すれば違う向きに飛んでんじゃねーか。
「オイオイ、操縦してんのか」なんて、操縦ってのは自分の思うように、機体と一体となって鳥になることよ。
「横風ですべってんだろ」なんて、偏流のとりかたがわからなければ直線はできないよな、旋回ができないと偏流は
無理だろ。先に旋回やらせろよ。なんて思いながら、直線と旋回の繰り返し。上昇、着陸も次の課題だ。真っ直ぐ飛ぶ
のが一番難しい・・
だいぶ北風も強くなり飛べない時もでてきた。そんな時は機首を風上に向けて地上安定の練習だ。
そんな事をしながら操縦かんを意識しないで、機体が操れるようになっていった・・ >>16
あんたさぁ、いい加減昔語りやめろよ。
ライセンス持って無さそうな人間の言葉は真実味が無くつまらん。 たかが物語りに真実味が無いとケチつけるのも
ナンセンスだと思うが