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 パラグライダーの選手が飛行中に突然、雷を伴った嵐に襲われ、風で約1万メートルの上空まで巻き上げられたが、ジャンボジェットが飛行するような高度と凍える寒さの中で約1時間、気を失った後、何とか地上に生還した。

 この幸運な女性は、ドイツ人のエバ・ウィスニエルスカさん(35)。

 ウィスニエルスカ選手は、今週オーストラリアで行われるパラグライダーの世界選手権に備えて14日、同国東部で練習をしていた。
 飛び立った時は天候はほぼ完璧だったが、90分ほどして突然、嵐に見舞われ、上空高く舞い上げられた。
 同選手は、「そこらじゅうで雷の音がした。暗くて、何もかもが凍っていた。どうすることもできず、ただ祈るしかなかった」と語っている。

 同選手は1分間に約400メートルの速さで上空に巻き上げられ、気を失った。
 気がついた時には高度6900メートルのところを流されていて、体やパラグライダーは氷で覆われていたという。マイナス50度の温度に耐えて同選手が地上に戻った時は、体は氷で覆われ、凍傷で黒ずんでいた。

 計器は、同選手が最高で9946メートルまで上昇したことを示していた。
 同選手の異常な体験は、たとえて言えば、15分間で世界最高峰のチョモランマ(エベレスト)に登るようなものだという。

 同じ嵐に襲われて42歳の中国人選手が体温の異常低下と酸素欠乏症のために死亡しており、ウィスニエルスカさんは「誰に感謝していいのか…。天使にかな」と話している。
 死ぬほどの体験をした同選手だが、もし傷が回復すれば同選手権に出たいと話している。