もう25年近く前の津久井湖での夜釣りでの出来事
バス釣りが楽しくて仕方なく、バイクや車を飛ばしては平日の夜、残業終わってから通っていた

ラブホテルの下にポイントがあり、崖の上のラブホを背にスピナベなどをキャストしていた時
『アンアンっ』少し高い若い女の子の声が夜の月明かりの中で響いた

おぅおぅ、頑張ってますなぁw
1人、クスりとしながら投げては巻き続ける
ふと気付くと声がおかしい
ゆっくりと間延びしていく
アンアンッ、あんあん、あーんあーん、おんぎゃあ…おんぎゃあ……。

耳で分かる、この方角からだと分かる声が発せられた場所も変化していく…背後のラブホテルからいつの間にか目の前の暗く静かな湖面の奥からハッキリと聞こえる…
こわばる身体、目の前の水面を覗き込んではいけない…本能的に知っていた。
緊張とは真逆に身体は弛緩し意識が薄れた
気付くと白い朝靄の中に自分は立っていた。