言い換えると、今回の「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」の放送時間変更は、こうした戦略をとらざるを得ないほど、昨年の「ポケモン」の頃以上に、平日にアニメを視る子供が減っていることを意味しているのだと思います。

 ではそもそもこの“平日にアニメを見る子供が減っている”という事態は、果たしてよく言われる少子化や、塾や習い事といったことだけが原因なのでしょうか。

 私はその他に、この1、2年で土日以上にキッズ・ファミリー向けアニメが集中してきている“Youtubeの台頭”も、大きく関係しているように思います。
2019年9月の時点で、平日夕方に民放各局で放送されているアニメ10本(※文末参照)のうち、半数以上の6本は、Youtubeで最新話の無料視聴が可能です。
また最近は、そうしたテレビ放送の見逃し配信だけでなく、「ニンジャボックス」や「ベイブレードバースト ガチ」、10月からは「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」や「モノのかみさま ここたま」など、
これまで平日夕方に放送されていたようなキッズ・ファミリー向けアニメが、次々と“Youtubeメイン”で配信されるようになってきています。
こうしたYoutubeメインのアニメは、アニメと関連するホビー以外のCMが無く、1話15分程の見やすい尺で制作されているため、アニメ以外の動画と共に、曜日や時間、場所に制約されずに視聴が可能です。

 日常生活におけるYoutubeでの動画視聴の割合が大きい“スマホネイティブ”な子供たちにとって、彼ら向けのアニメがこれだけの好条件で配信されていれば、大概のアニメ視聴はYoutubeで事足りてしまいます。
こうしてみると、「その時間に夕飯で家族そろって居間にいる」「どうしてもリアルタイムで見たい」といった条件がない限り、子供がアニメを、わざわざテレビで見る機会が減っていくのも、無理のない話です。
彼らをメインターゲットとした「コロコロコミック」や「バンダイ」「タカラトミー」といった、平日夕方アニメのスポンサーたちが、いち早く専用チャンネルを作って、上記のアニメを配信し始めているのも、それを察知してのことなのでしょう。

 そう考えると、キッズ・ファミリー向けアニメの土日集中化は、アニメはテレビでみることが多い大人たちが、
「家で子供と一緒にテレビを見られる」「子供にテレビを見せられる」ことが比較的多い土日に、放送が集中してきているという一面も、もしかしたらあるのかもしれません。

 今回の「ドラえもん」と「クレヨンしんちゃん」の放送枠移動は、あの国民的アニメでさえ土日に放送時間を移動せざるを得ないほど、
アニメはスマホやタブレットで視聴するものへと、子供たちの視聴習慣が根本的に変わってきている兆しでもあるのではないでしょうか。

https://mantan-web.jp/article/20190930dog00m200046000c.html