私に天使が舞い降りた！
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【番外編】
ひなたは手首に刃をすうーっと沿って入れる当然裂けた皮膚から血がにじみ出る
そしてその度にひなたは実感する 鈍い痛覚とともに今自分がこの世界に生きているのだと
彼女の心は空虚に満ちていた 人、モノ、カネ、そして目まぐるしく移り変わる浮世 その全てが行き交う様を
彼女はリアルと捉えることが出来ずにいた
少女から女性へと成長を遂げる過程でひなたは様々なことを体験する 彼女はこの現世の醜さに触れ続けていた
そしてそれこそが自分自身を、生を強く実感できる瞬間になっていた それは逆説的に彼女はとても純粋だったことの証明なのかもしれない
美しく光る純度１００％の愛… そんなものをひなたは探し求めていたのかもしれない 代償行為がエスカレートするのに時間はかからなかった 自傷行為はやがてドラッグ、性交渉へと発展する
だが、『愛』を追い求めていたひなたには性交渉を重ねる度に苦悩に陥ることとなる
それは俗に言う「愛のないセックス」など彼女の世界には存在しないものだった なぜならひなたにとってセックスとは愛、愛することそのものと表現するに足りる行為だからだ
汚れた大人になり切れない少女の中にある純粋さ ひなたはカラダ目的に近寄る異性をも行為の時には心から愛してしまっていた
彼女は愛とセックスを分けることができない それを繰り返す内にひなたは更なる虚無への地平線へ堕ちてゆくこととなる
真実へとたどり着きたい、だが真実などない それでも真実を追い求めたい 「自己」を追求し続けるひなた
だが理由なぞいつの間にか失っていた そこには浅ましく目先の快楽だけを貪る『女』がいた―
惨めなその様は壊れたフラワーロックのように淫らに善がっていた
いつの間にかすり替わっていた目的
いつものように覚醒剤と性交渉を終えたあと、ひなたはふとホテルの窓を開けて外をぼんやりとながめる
多摩市から微かに見える遠くの23区の夜景を見つめて彼女は、あそこには人間が何百万と共存しているのね
まるで機械のように…と物思いにふける
そして続けてうつろな目でつぶやく「狂っているわ・・・」 そんな空虚でやるせない日々を送っているさなか
みやこはひなたの日常生活を不審に思い興信所へ身辺調査を依頼した
そして報告結果はみやこにとって想像を絶する最悪の内容となって突き付けられた
援助交際及び売春行為、常習性が疑われる薬物中毒 覚せい剤・MDMAの所持及び使用疑惑、自傷行為、窃盗万引きの常習性等々であった
みやこは落胆した・・・。あまりに衝撃的な事実に吐き気を催し錯乱した程である
そしてみやこはひなたを正そうと決心して話を切り出す・・・
ひなた「みゃー姉ただいま…珍しいね居間にいるなんて なにしてんのさ」
みやこ「ひなた。話があるの」
ひなた「なーにーｗｗ みゃー姉怖い顔して ただでさえ暗いんだから余計に陰険に見えるよ〜 」
間髪入れずにみやこは写真をテーブルの上に広げる、それは興信所から仕入れた援助交際疑惑を決定づける写真の数々だった
ひなた「！！なにそれ…」
ひなたの表情が一気に曇る そしてみやこは尋問を始める
みやこ「ひなた、これは何！あなた普段一体何をしているの！！」
ひなた「みゃー姉には関係ない！！それにこの写真はなんだよ！せこいぞっ」
みやこ「話をそらさないで！！！ それに私はねあなたが違法薬物に手を染めてる情報も掴んでいるの」
ひなた「！？」
いきなり秘め事を暴かれ動揺を隠せないひなた
そしてみやこは続ける
みやこ「見損なったわひなたこんなにも落ちぶれてたとはね！なぜこんなことをするの？」
やや憔悴したような顔でひなたは語る
ひなた「みゃー姉には理解できないよ… 本当の愛がなんなのかってのを…
私はね・・・きっと純粋だったんだよとても だからクソみたいな世の中の
尺度で私を判断しないで！私は〜」
間髪入れずにみやこは食って掛かる！
みやこ「本当の愛？純粋ですって？笑わせてないでよ！！
あなたはただのセックス依存症それだけよ！！！」 とても険しい顔でみやこはそう言い放つ
ひなた「違う！」
みやこ「違わない！あなたは気の向くままに快楽を貪る愚かな薬物中毒者それが正体」
ひなた「ちがｘ」
みやこ「自分で自分の後始末もつけられないでなにが純粋よほんっとくだらない！」
ひなた「うるさああああああああああああああい！！」(ドガッ)
ひなたは思わずみやこの顔を殴りかかってしまった
そしてみやこの口から血が滴り落ちる・・・
みやこはゆっくりと顔を正面に戻して話を続ける
みやこ「理屈や論理で私に勝てないからって暴力？本当にどうしようもないわねアナタ」
ひなたは魂の抜けたような顔をして立ちすくむ 私は求めている この世界が何なのかを突き詰めたい
この宇宙、そして地球 文明 人間社会 そして大勢いる人々、人類
それらを俯瞰で見届けているような気分に浸っている
人生とは何なのか 自我という個 そして他者とかかわり、時にはそれを切り捨て拒絶して生きてゆく
争い、憎しみあって 試行錯誤を繰り返し 法律、経済、社会、政治を作り時代とともにそれらをバージョンアップしてゆく
突き詰めれば突き詰めるほど虚無に感じる 「自分」というものを掘り下げていく
他社の自我を認知することはできない だが何十億という自我を持った生命体が地球には存在している
地球―…広大な宇宙空間の小さな小さな点のひとつ
誰もが幸福になりたいと思い生活しているのだろうか
恐らく有限とされる富 競争して奪い合い 椅子取りゲームのような自らが作り上げた社会で競い合う
誰かの幸せが誰かの悲しみになり その事実すら一瞬の出来事でさらには幸福が悲しみを産み、悲しみが幸福を産むのだろうか
大量殺戮 生命救護 矛盾を繰り返す ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
