■自分のスタイルを会社の新しいスタンダードにしたい。

 清野は大学時代、日本一を目指すラガーマンだった。4年生の冬まで国立のピッチに立つ
彼らに、卒業後の進路をじっくり考える時間はあまりにも少ない。日本ペイントは「監督に薦め
られるまではあまりよく知らなかった」会社。説明会や面接を受けながら、社会や業界への大
きな影響力、伝統あるメーカーであること、実力、実績などを初めて知ったという。
「採用が決まった時は正直ほっとしましたが、自慢じゃないけど筋金入りの勉強嫌い
(笑)。“考える前に動く”僕のようなタイプが、本当に化学の知識や技術を理解できるのか、入
る場所を間違えたんじゃないかなんて、自分でも驚くほど真剣に悩んだこともありました」。

 『前へ』を合言葉に、どんなに厚い壁に対してもただまっすぐ突き進んできたのが清野の
人生であり、個性だ。そんな人間的な力こそ、ビジネス界では大きな武器となる。スポーツの
世界で磨いた先輩・後輩との人間関係を作る力は、営業マンの生命線とも言える人脈づくり
に役立つ。国内はもちろん世界にも広がるダイナミックなビジネススケールには、たくましく、
軽快なフットワークが欠かせない。そんなビジネスの本質を知り、醍醐味に触れた今、清野
の姿勢が変わった。そしていつかは自分のスタイルを日本ペイントのスタンダードにできたら
と考えはじめているそうだ。そして、このクレームを解決することで「営業・清野」の存在をさら
に大きくアピールしようと考えている。

 「完全解決までにはまだ時間がかかりそうだけど、技術者の人たちと何度も会い、打ち合わ
せをしたおかげで、知識も人脈もすごく幅広くなりました。とにかくこの経験で学んだこと、気
づいたことは数え切れません。最初はついてないと思った電話ですが、実は幸運を運ぶ電話
だったかもしれませんね」。