【DB】大坊聡 自分を売る 144回目【TMNG】
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The Story 自分を変えた幸運のクレーム処理。 清野大地
■相手の心を知る感性と、相手の心に響く人間性と。
とある朝、1本の電話が始まりだった。大手鋼製家具メーカーで、毎年2億円以上の取引を
継続する大切なクライアントから、『自分たちの家具を設置する職場でシックハウスの症状が
出たが、建物が原因とは考えにくい。だから家具について検証しており、お宅の塗料について
も調べてほしい』という要請だった。
『わかりました。現場にすぐに確認し、こちらからお電話させていただきます』。そう応対した清
野自身も最初は深刻に考えていなかった。ところが、客先で使われていた商品の製造記録と
納入記録から意外な事実が見つかった。使いやすさや性能など、ユーザーの新たな要望に
応える為に段階を追った改良が行われ塗料の性質が少しずつ変わっていたのである。調べ
る検査データが増える。改良の理由やそこに至った経緯も報告しなければならない。これは
本腰を入れてやらないとダメだと確信し、何ヶ月かかっても必ず自分が解決してやると、清野
は腹をくくった。
「時間が経つとともに顧客からは『早く結果を報告して』と催促されるし、技術者からは『そう
簡単に出ない』と叱られるし。人と人の板挟みは、高校、大学のラグビー人生で散々経験し、
鍛えてきたんですけど」と苦笑する清野。体ではなく気持ちのぶつかり合いは、力だけでは解
決は難しい。相手の事情や感情を正しく理解する感性と、相手を説得し、納得させる人間性を
武器に、清野の奮闘が続く。 ■自分のスタイルを会社の新しいスタンダードにしたい。
清野は大学時代、日本一を目指すラガーマンだった。4年生の冬まで国立のピッチに立つ
彼らに、卒業後の進路をじっくり考える時間はあまりにも少ない。日本ペイントは「監督に薦め
られるまではあまりよく知らなかった」会社。説明会や面接を受けながら、社会や業界への大
きな影響力、伝統あるメーカーであること、実力、実績などを初めて知ったという。
「採用が決まった時は正直ほっとしましたが、自慢じゃないけど筋金入りの勉強嫌い
(笑)。“考える前に動く”僕のようなタイプが、本当に化学の知識や技術を理解できるのか、入
る場所を間違えたんじゃないかなんて、自分でも驚くほど真剣に悩んだこともありました」。
『前へ』を合言葉に、どんなに厚い壁に対してもただまっすぐ突き進んできたのが清野の
人生であり、個性だ。そんな人間的な力こそ、ビジネス界では大きな武器となる。スポーツの
世界で磨いた先輩・後輩との人間関係を作る力は、営業マンの生命線とも言える人脈づくり
に役立つ。国内はもちろん世界にも広がるダイナミックなビジネススケールには、たくましく、
軽快なフットワークが欠かせない。そんなビジネスの本質を知り、醍醐味に触れた今、清野
の姿勢が変わった。そしていつかは自分のスタイルを日本ペイントのスタンダードにできたら
と考えはじめているそうだ。そして、このクレームを解決することで「営業・清野」の存在をさら
に大きくアピールしようと考えている。
「完全解決までにはまだ時間がかかりそうだけど、技術者の人たちと何度も会い、打ち合わ
せをしたおかげで、知識も人脈もすごく幅広くなりました。とにかくこの経験で学んだこと、気
づいたことは数え切れません。最初はついてないと思った電話ですが、実は幸運を運ぶ電話
だったかもしれませんね」。 レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。