「陶芸やっかぁ」
里乃と舞に見つからないようにこっそりと秘密の部屋の入ると、2人がかけまくってきた愛情汁とやらでドロドロの前垂れを整えた。作業台の前に座り、土をこねる。
既に作業台を濡らし、私の土は私の愛撫を待つ。
土をこねながら鏡に映すと、まゆみちゃんが出来上がる姿が見えた。
「私の理想の従者作りだぜ」声に出していう。
「従者はやっぱハニワ」
やおら作業棚から、ろくろを取り出す、手に土をたっぷり取り、逆手でろくろをこね回す、
「ヌリュッ、ヌチョッ」音が私の従者中枢を更に刺激する。
「まゆみちゃんたまんねぇ」扱きに合わせて、身体を上下させる。
「従者作りにゃあこれだよ」この間盗んできたまゆみちゃんの髪飾りを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「まゆみちゃん、まゆみちゃん」「私のまゆみちゃん」
頃合いをみて祈りを捧げる。私はこのはにわで自分を救うのだ。
キチってないし、話し方もヤクザじゃないし、言うこともちゃんと聞いてくれるし、優しくメンタルケアしてくれる、左手で里乃を倒し、右手でオラオラと舞をやっつける。
作成中の私のはにわは、日本一のはにわになっていた。
「ちきしょうゆかりに自慢してやりテェよ」
完成が近付くと、最近デバフ自慢してくる紫にそう思った。まゆみちゃん臭をもう一度吸い込み、祈りを追加すると、完成へ向かってまっしぐらだ。
「埴安神袿姫を超えるはにわ作りをやってやる」「まゆみちゃんみたいなおきなのはにわ」
「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」土を飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」心の奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、私を悩ます。
 -完成させてえ- -もっと作り込みてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、私は崖っ淵に立つ。
「できたっ」私は台の上のはにわを仕上げ、乾燥棚に入れることを決める。奔流は堰を切ろうとしていた。
「隠岐奈様コラ!隠れやがってコラ!」
「浮気しくさりやがってコラ!舐めとんコラ!」
「ぐにゅっ」
ハニワを踏んづけて、里乃と舞が現れる。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。