日本ペイントHD元社長酒井健二氏死去、信念貫き経営立て直し(評伝)
2018年5月1日 21:13
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO30041710R00C18A5LKA000


1日に亡くなった元日本ペイントホールディングス社長の酒井健二氏は2009年から15年まで経営トップを務めた。リーマン・ショックの影響で就任直前の09年1〜3月期に営業赤字に陥っており、苦境の中での登板だった。
トップダウンで販管費の削減や生産性の向上を進め経営を立て直し、グローバル企業への転換を主導した。

「仕事のやり方を変えろ」「自分の市場価値をあげろ」。社員に発破をかける一方で、自分にも厳しい人だった。新開発の塗料が思い通りに仕上がらなかった時には徹夜で改良にあたった。
「やるべきことはやる。周囲の声に流されずに、信念を貫く人だった」。元副社長で財務責任者として酒井氏を支えた馬場良一氏はこう悼む。

いわく「ぬるま湯」だった体質を変え、業績回復にこぎ着けると、今度は13年に合弁相手のシンガポール塗料大手、ウットラムが日本ペイントへの出資拡大を提案。
突然の申し出に社内は騒然としたが、粘り強く交渉し提案は取り下げられた。

14年には日本ペイントへの出資拡大を認めるかわりに、同社がアジア合弁8社を子会社化することで合意。日本ペイントの海外事業拡大への道をつくった。(香月夏子)