選手自身が負傷のリスクを覚悟する、というのはアメフトを含めた
格闘技においては当然の話 だが、それは相手にケガをさせても
いいということにはならない

かつて格闘技のあるリングドクターが「選手がどういう状況になったら
ドクターストップをかけるのか」と質問されて、こう答えていた

医師としていつストップするのかと言われれば、試合を始める前に、と
答えるしかない 負傷することがほぼ確実な殴り合いなんてやめなさい
というのが本音だ しかしながら、それでは格闘競技は成立しない
試合中は、だから競技の成立と選手の安全をギリギリのところまで両立
させるつもりで臨んでおり、こうなったら止めるという基準をあらかじめ
示すことはできない

この話では、負傷発生のリスクと競技の成立という、矛盾することがらが
格闘技には存在するということが示されている アメフトも同じで、ならば
やめますかと言われればやめるという選択肢はない とすれば、負傷する
リスクは覚悟しつつ、しかしそれを最小限に食い止めるということでしか
競技の成立はなし得ないということになる

はなからケガをさせればよいという競技は、許されないのである