https://www.47news.jp/sports/turnover/2648361.html
甲子園ボウルの優勝回数を示す21枚のパネルに見守られて、「日大フェニックス」が練習を再開した。

 帰省休暇が明けた8月7日、東京・桜上水にある日大グラウンド。

 「危険タックル問題」で関東学生連盟から公式試合の出場資格を停止され、秋のリーグ戦に出場できないフェニックスの選手、スタッフが久しぶりに集合した。

 この日は、9月1日付で新監督に就任する予定の元立命大コーチの橋詰功氏が、初めて学生全員と対面した後、報道陣の取材に応じた。

 緊張した面持ちと、慎重に言葉を選んだ語り口。名門チームを率いる責任の重さを実感しているように見えた。
 橋詰氏は55歳。高校の指導を含めて、コーチ経験は20年以上になるが、監督の立場でチームをまとめた実績はない。
 「なぜこれまで監督をしていなかったのか?」という質問にはとても答えにくそうだった。日大というチームについても「あまりよく知らない」と正直に明かした。

 練習前のミーティングでは「一緒に、日本一にふさわしいチームにしていこう」と語りかけた。熱い思いを、短い時間で伝えたという。

 徳島秀将主将(QB)は、その言葉を前向きにとらえていた。

 「日本一のチームにするためには、普段の生活から改めないといけない。日大が甲子園ボウル出場を果たしたときに、あの年の4年生のおかげと言われるように、できる限りのサポートをしたい」

 ただ、目標を失った33人の4年生の多くがチームを離れる可能性が高い。

 学生王者が、前体制が残した負の遺産と大学の危機管理能力のなさが原因で、連覇を目指した最終学年のシーズンで試合に出られない。厳しい現実に直面し、難しい決断を迫られている。

 橋詰氏は言う。「日本一強くて、日本一フットボールがうまいチームではなく、日本一素晴らしいチームを学生と一緒に一から作っていきたい」

 覚悟に満ちた決意表明が、学生の心に響くことを期待したい。