テレビはこの間、朝から晩まで何度「タックル映像」を流したのか。無数のフラッシュを浴びた反則選手は引退し、指示を否定したまま監督もコーチも辞任に追い込まれた。
その後の日大選手たちにも過度な注目が集まり、躍動の場を奪われている。多くの人がルールも知らない学生スポーツの1つのラフプレーを、誰が「視聴率の稼げる社会現象」に祭り上げたのか──。
そもそも学生アマチュアの親善試合で起きた1つのラフプレーが、朝から晩まで報じられることは前代未聞だ。
相手が命にかかわる重傷を負ったとか、日本チャンピオンを決める大一番の試合だったとか、深刻なシチュエーションでもなかったのに、刑事告訴に至るほどの大騒動になったのには、こんな理由がある。
「今流行りのインスタ映えではないですが、“テレビ映え”する映像の存在が大きいです。そもそもアメフトというスポーツはマイナーで、経験者はごく少数だし、ルールを知っている視聴者だってほとんどいません。
しかし、たまたま観客が撮影していた映像がツイッターで出回った。しかも、見栄えのする赤色と青色のユニホームの選手が入り乱れ、激しく接触する“迫力”と“スピード感”のある映像。誰が見ても反則だとわかりやすい。
もしあんなにきれいに映っていなかったら、テレビが取り扱うこともなく、今でも全国の人が騒動を知ることもなかったと思います」
実際、「タックル映像」が初めて『めざましテレビ』(フジテレビ系。5月14日放送)で流れると高視聴率をマーク。テレビ業界にはその噂が広まり、後追いするワイドショーやニュース番組が続出。あれよあれよという間に、“社会現象”になった。
 テレビ局がほしがる「画」でなかったら、宮川選手の会見に報道陣が殺到することも、そもそも会見を開くこともなく、彼は充分に反省した上でまだアメフトを続けていたかもしれない──。