内田氏の理事辞任でも日大が踏みにじろうとしている関東学連の温情裁定
https://thepage.jp/detail/20180602-00000001-wordleafs

 筆者の取材では、あろうことか、次期監督には週刊誌に“黒幕”と書かれた某理事を推そうとする動きまであるという。
内田前監督の2学年下で、1978年の甲子園ボウルで最優秀守備選手を受賞、翌年はチームの主将を務めた人物で、監督、コーチの一新を求める学生たちは、戦々恐々としているという。

 大塚学長は25日の会見で、次期監督や一新予定のコーチ陣に関して「学生の意見を聞きたい」とも語っていたが、監督の任命責任のある保健体育審議会事務局長である内田氏が自宅待機となったため、現状、誰がどういう形で、次期監督を選ぶのかも決まっていない。

 加えて、この日、日大が同時に設置を発表した第三者委員会についてのレジメを見て唖然とした。スケジュールの欄の結果報告が7月下旬(予定)となっていたのだ。

 設置目的の中に「再発を防止するための対策」とあるので、おそらく大学側は、この答申を待ってチーム改革に乗り出すつもりでいるのだろう。そうなれば新チームの始動は、8月以降にずれこむ。

 関東学連は、来年3月31日までの1シーズンの出場停止処分をチームに科したが、その際、
「原因究明を行い、それを踏まえて実効性のある再発防止策を策定、実施し、抜本的なチーム改革、組織改革を断行し、それらが検証委員会によって確認され、理事会で承認されること」を条件に開幕前の解除の可能性を残した。
だが、そのデッドラインは「7月末」としていた。にもかかわらず、それらの条件を満たす作業を日大が急ごうとしないため、このままでは9月の今季開幕には、とうてい間に合わなくなったのだ。

 筆者は、直接取材していないが、複数のメディアによると、この日、大塚学長は、文科省への報告後のメディア対応で、今季のリーグ戦復帰に間に合わない可能性について認めたという。

 うがった見方かもしれないが、この学長は教育者として学生を最優先に考えているような発言を繰り返しているが、実のところ最優先に考えているのは学生ではないのではないか、と考えてしまう。
 第三者委員会の結論を先延ばしにすることで、時間を稼ぎ、事態を沈静化させ、これ以上田中理事長にまで非難が及ばないようにと画策しているのだろうか。
関東学連が「指導者の反則行為の指示」を事実認定した上で、“本当に悪いのは指導者で学生側に罪はない”との“大岡裁定”を出したが、日大の姿勢は、その温情裁定を踏みにじるようなものだ。

 本当に残された学生のことを考えているのならば、6月中に第三者委員会の報告を行い、その結論を踏まえ7月中に新しい体制でスタートを切り、9月の開幕に間に合うスケジュールで関東学連の検証委員会の裁定を待つべきだったのだ。
 関東学連の科した処分は、1シーズンになっているが、こうなった以上、来季以降の復帰に関しても解除条件と同じ条件をつけるべきだろう。