個人的な考察をまとめると(長文スマソ)

大前提として、内田・井上と宮川選手は両者とも嘘は言っていないと信じる。

なぜなら、この問題の核心は「言葉の誤解」と「感情のすれ違い」だからだ。
(問題の「本質」は日大イズムに代表される監督に絶対服従を強いられる日本の体育会文化であるが、この問題をクリアにするため、あえて触れず、当事者の関係性だけにフォーカスする)

同じ発言でも言った人間と言われた人間の立場や精神状態によって差が生まれるのが言葉というものだ。

その「言葉の誤解」がことの発端。

そして、一番重要なのは、監督・コーチが宮川選手に「相手を怪我させて来い」と具体的かつ直接的に指示をしたかどうかの一点に尽きる。

両者の会見を見て分かったことは、もしかしたら、直接的な指示者であった井上コーチの口下手さ加減から、本当に怪我をさせてこいと言うつもりはなかったにも拘らず、口が滑って「怪我をさせろ」と言ってしまった可能性があるということ。

そこに怪我をさせろという「明確な悪意」がなかったとしても、言ってしまった責任は重いだろう。
(会見で井上も「もしかしたら怪我をさせろと」言ってしまったかもしれないと発言していた)

しかしながら、刑事罰に処するためには、その発言に「明確な悪意」があった実行指示かどうかが重要になる。

私が、内田・井上サイドに「明確な悪意」がなかったという根拠として挙げるのが、あの時期にわざわざ将来有望だった宮川選手を使って相手QBを故意に怪我を負わせる必然性が感じられないこと。

普通に考えて、相手QBを故意に怪我をさせるメリットとデメリットを天秤にかければ、明らかにデメリットの方が大きい。(実際、社会問題化して内田と井上は社会的に死に、宮川は競技を断念させられた)

そこまでして、内田・井上が宮川選手を使って故意のラフプレーを指示するとは考えられない。
(しかも、宮川選手は日本代表に選ばれるほどの実力者であり、井上コーチとは高校時代からの師弟関係であった。
ただ相手QBを怪我をさせて秋の大会に出られなくすることが真の目的なら、わざわざ戦力である宮川選手などを使わず、捨て駒の無名選手を使えばよかったはずだ)

「潰せ」と言う指示をどれだけ拡大解釈しても、せいぜい「プレー中にQBに怪我をさせても構わないから、ビビらず強く当たってこい」と言う指示にしか思えない。

例えば、もし宮川選手がプレー中にラフプレーをして、今回と同じ怪我を相手QBに負わせたとして、ここまでの社会問題になっただろうか?

はっきり言って、SNSで拡散することなく、よくあるプレーの一つとしてスルーされ、関係者以外の話題にしかならず終わっていたはずだ。

誰の目から見てもおかしなプレー外のラフプレーを宮川選手が行い、その様子がSNSで拡散されたのが騒動の始まりであることは言うまでもない。

このことから、会見での内田・井上両者の「ラフプレーの指示はあくまで宮川の闘争心を引き出すための作戦であった」と言う発言は筋が通っているように見えるのである。

そして、もう一つの問題は指導者サイドと宮川選手との間にあった「感情のすれ違い」である。

指導者サイドは篠竹監督から続く日大伝統の「有望な選手は一度精神的に追い込み発奮させ成長させる」と言うメソッド(一般常識からは理解できないものであるが)に則って行った指導であり、
そこには一方的ではあるが確かに選手に対する成長を託したいという愛情と情熱が根底にあったはずだ。

そのパワハラまがいの指導法が結果的に、優しく繊細な心の持ち主であった宮川君には間違ったアプローチとなり、その真意が伝わることなく、正常な判断力を失わせたのである。

その点において、内田・井上両氏はその「指導方法」について、誤りを認め職を辞している。

とりあえずここまでが両者の会見を見ての私の考察だ。

関学はあくまで指導者の指示を疑い、指導者の刑事罰を求めるスタンスであるが、そこには鳥内監督と小野Dの大学アメフト界を牛耳ってきた日大(篠竹・内田)の暴力容認姿勢を徹底的に排除し、
大学アメフト界を浄化したいという強い意志を感じる。

長年に渡り大学アメフト界にはびこってきたラフプレー容認の流れをここで立ち切りたいというのが本心だろう。
(関学もある意味それを黙認してきた共犯関係にあったと言えるが)

しかしながら、指導者の2人が刑事罰に処せられるか否かは「言葉の誤解」による部分が大きい以上難航を極めると予想する。