日大は、どこで判断を間違えてしまったのか
大学全体のブランドまで毀損してしまった
https://toyokeizai.net/articles/-/222160

ディフェンスラインの設定ミス、会見のお粗末さをもって、日大の無能さをあげつらう声があります。しかし私はそうは思いません。
日大の中にいる多くの教職員が、一般国民の多くと同じように日大の繰り返す失敗について止めたいと考えていたはずです。しかし、まともな声は意思決定には反映されていないのでしょう。

選手を干して、違反プレーを強制するように追い込むような命令系統、不健全な意思決定システムが支配していると想像すると、
長期的な視野も論理的な思考もなく、学校をして誤ったディフェンスラインを設定させ、広報がお粗末な声明を出して炎上を招き、必要もない会見を衝動的に設定し、ろくに準備もせず丸腰でそこに登場したことも自然に思えます。

日大には2000人を超える教職員と約7万人の現役学生、そして卒業生を軸に無数の関係者を擁していますが、この対応ではすべてを巻き込んでしまいます。
日大そのものと前監督・コーチは立場が違うことを明示し、距離を置くこともできました。そうしなかったため、今回の問題を「部」の中に留めることはかなわず、日大全体に波及することは避けられなくなったのです。

もし組織にきちんと議論する土壌、多くの人の意見が容れられる土壌があったなら、このようなミスが起きたでしょうか。

それでも、私は日大が気の毒だとは思いません。これは部活の問題が大学に運悪く波及したのではなく、大学という組織の意思決定に最初から問題があったためで、すなわち、やっぱり組織全体の問題であるのです。
日大に対しては、本件のような事件を二度と起こさず、大学の信頼を回復するため、前監督やコーチの処遇以前に、大学に関する意思決定のシステムを抜本的に考え直してもらいたいと思います。