http://www.47news.jp/sports/turnover/column/ikezawa/172532.html
今回の問題はアメフットの花形ポジションであるQBに「クロ」の裁定が下ったところにある。
しかもそれが過去に4度もスーパーボウルを制し、
NFLを代表する英雄的存在のブレイディであった。
 QBは数多いアメフット映画でも主役となることが多く、
子どもたちが最も憧れるポジションだ。
自然と清廉潔白なイメージが付きまとう。


 実際にNFLでもペイトン・マニング(ブロンコス)やアーロン・ロジャース(パッカーズ)、
アンドルー・ラック(コルツ)といったQBはそのイメージに近い。
 相手にダメージを与えるプレーに報奨金を設定していたことが問題になったセインツでも、
ドルー・ブリーズはスキャンダルとは完全に無関係で、
その潔白なイメージは保たれた。


 ところが、デフレートゲートではまさにそのQBの関与が疑われている。
この事件の報告書「ウェルズリポート」では、
ブレイディが減圧球の使用を少なくとも知っていたと控えめな表現になっているが、
実際にボールの空気を抜いたとされる球団関係者から提出された携帯電話の通信記録には、
ブレイディからの依頼で空気を抜いていたこと、
そして、それが長期にわたって行われてきたことを疑わせるやり取りがある。


 ブレイディが自分の通信記録を証拠として提出することを拒んだため、
関与を確信する根拠はないが、潔白を証明することにもならない。
むしろ、疑惑が深まったのである。
 ブレイディは今後、出場停止処分の取り消しもしくは軽減を求めていく。
しかし、自らの関与を完全に否定する証拠がない限り、
これは難しいかもしれない。
グッデル・コミッショナーはリーグの決定を支持する立場にあり、
容易には態度を軟化させないと予想されるからだ。