30年以内に80%の確率で発生する――。
こう言われてきた南海トラフの巨大地震は、すでに起きつつある。

海洋研究開発機構は今月8日、探査船「ちきゅう」で南海トラフを掘削し、
発生の仕組みの解明調査を断念すると発表。国家プロジェクトは失敗に終わったが、
今年に入って巨大地震の前兆は止まらないという。

気象庁の発表によれば、2月6日に石垣島近海(M4.7)、10日に奄美大島近海(M4.8)、
11日には紀伊水道(M3.7)で揺れている。いずれも約40キロの深さで発生。
この位置と深さ40キロという数字に大きな意味があるという。立命館大教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が言う。

「今年になってから、静岡県、三重県南部、和歌山県南部、徳島県南部、紀伊水道、高知県西南部で地震が起きています。
日本列島の南端、つまりフィリピン海プレートの境界に近いエリアで相次いでいるのです。
南海トラフの巨大地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことで起きる。
しかも40キロという深さは、プレート境界、つまりプレートがもぐり込んでいる深さになります」

高橋氏によると、日本列島を横断するプレートの境目がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる現象が続いている。
数カ月かけて、四国を横断し、和歌山、三重、そして現在は愛知中部の地下でスロースリップ現象が起きている。

東京湾口はいわゆる相模トラフと呼ばれる場所で、相模トラフが揺れれば首都直下地震を引き起こすといわれる。
同時に起きるリスクもあるというから、列島全体が危機にあるのかもしれない。