【概要】
ヤの伝承に登場する「死の天使」の一人だが、
媒体により天使であるとも悪魔であるともされており、正体が今イチとハッキリしていない。
ヤでは前述の様にヴァを誘惑したSであり、なんとカインの父親でもあると云う。
サマはヤでも有名な悪魔アスモと同一視されることすらあり、
ここまで来ると彼が何者なのか、何人にも判断することは不可能であろう。
「バルクの黙示録」では、サマはデンの園に葡萄の木を植えたという。
これに神は怒り、サマと彼の植えた葡萄の木を呪いダムが触れることを禁じたが、
これに怒ったサマは、葡萄を使いダムを欺いた。
一応、これについての説明としては葡萄には人の情欲を駆り立てる作用があり、
事実「葡萄酒(ワイン)」を飲むようになったダムの子孫(人類)からは
絶えず争いが起こる様になった……
と云う意見もあるが、
ト教ではワインを「救い主の血」として大事にしていたりするので、やや言い掛かり臭い。
神が葡萄を植える事に怒ったのは
葡萄が現在では林檎とされる場合が多い「知恵の実」と考えられていたからであろう。
デンの園の「S」であるとする伝説に関しては、
元々はその正体であるとされたファー=ンの伝承から枝分かれした物が
サマと云う別の天使(悪魔)の名前で一人歩きしただけだったのかも知れない。
他、独自の伝承としてはグノーシスに於ける第五天の支配者にして、
造物主であるとする物がある。
他の天使を含む、物質世界の凡る物を創造した……
と書くと何か凄そうだが、グノーシスでは一貫して、
「物質世界は偽りの神が造り上げた不完全な世界であり、
その外に広がる真の神の世界の高みにまで精神を飛ばさなければいけない」……と説くので、
結局は悪魔扱いのまま。
※グノーシスではヤ/ト教の「神」を偽りの神とし、
ト(ファー)こそを真の神から遣わされた人類に知恵の光を齎し、
導こうとする救世主であると定めている。