『ナグ・ハマディ写本』中に見出された『この世の起源について』などで、
傲慢な造物主・この世の創造者として言及されている。
ユダヤ教の唯一神ヤハウェと同一視され、サバオトの父であるともされる。

『旧約聖書』の各所では神の唯一性が説かれているが、
グノーシス主義ではこれをヤルダバオートの蒙昧さ、傲慢さの現れとみなした。

「ヤルダバオート」という名がどこから来たのか、様々な説がある。
ヘブライ語で「混沌の息子」を意味する単語から変化してできたとの説が有力であったが、
『この世の起源について』などでは、シリア語から派生したとも解釈できる。
ヤハウェ、ヤーなどと関係付けられた名であるのは間違いがない。