ホイールボルトにおけるISO方式とJIS方式の概要。ISO方式にも「従来ISO方式」と「新ISO」がある(画像:日本自動車工業会)。


ホイール規格の変更、事故との因果関係はあるのか

 国土交通省の統計に基づく全日本トラック協会の資料によると、脱落した車両のホイール規格は2015年にJIS方式が20件、ISO方式が21件だったのが、2017年にはJIS方式が20件に対し、ISO方式が47件に増加しています。

 しかしながら国土交通省自動車局整備課によると、ISO方式のトラックが増え、JIS方式が減っているため、保有台数の割合からすれば、事故がISO方式に偏っていると見るべきではないといいます。「近年増えている要因はやはり、タイヤの交換時『あわて』が目立つようです」とのこと。

 一方、北海道トラック協会によると、車輪の脱落防止については毎年のように啓発を強化し、運送各社では整備管理者がボルトのトルク(締め付けの度合い)も管理しているといいます。「それでも事故が年を追うごとに増え、しかも左後輪に集中しているのは、単に『右よりも負荷が大きいから』だけでは説明がつかないでしょう」とのこと。

 全日本トラック協会も、運行前の点検は必ずあり、ボルトがガタガタの状態で走っているトラックが多いとは考えづらいといいます。「何らかの予兆があるはずで、それを突き止めることが大切でしょう。いずれにしても、ホイールやボルトなどの正しい組み付けや、走行前の点検が大変重要であることをぜひ知っていただきたいです」と話します。

 ちなみに、車輪の脱落は2000年代前半、三菱製の大型トラックでタイヤと車軸をつなぐ「ハブ」の破損による事故が相次ぎ、社会問題となりました。こうした事態を受け、国土交通省では2008(平成20)年、大型車の運行前や3か月点検時におけるホイールやボルトの点検基準を強化。
これが一定の効果を挙げたといい、2004(平成16)年度に87件あった車輪脱落事故件数は、2011(平成23)年度には11件まで減りました。JIS方式が主流だった時代にも事故が多く、それを減らしたという経緯があるのです。

 しかしそれ以降、事故件数は増加に転じています。国土交通省自動車局整備課は、ISO方式特有の原因があるのかどうかも、今後調査していくといいます。
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乗りものニュース編集部


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最終更新:1/20(日) 13:19
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