https://number.bunshun.jp/articles/-/858537

「合宿や遠征についてのカレンダーは作られているが、
そこにどういうレベルの選手を集めるのか。どういう形態で練習するのか。
どういうサポートスタッフに入ってもらうか。
スタートの改善に取り組むのか、泳ぎの撮影をして
フォームの改善をするのかといった強化の中身が少ない。
 強化をするわけだから、目標を立てたら
それを達成するための具体策がないといけないわけですよ。
手始めに第一歩が『合宿を作ること』だとしたら、
次にどの選手にどういうアプローチをするか考えなければいけない。
その深いところが全くなかったんです」

国内合宿が全く入っていない
 昨年のヨーロッパグランプリ遠征の際にも、
これまでだったら当然のように帯同していた映像撮影など、
いわゆる科学班と呼ばれるスタッフのサポートが皆無だった。
後日、平井氏は1人のスタッフからこう言われた。
「平井さん、私の都合で行けなかったと思ってませんか?」
「違うの?」
「違いますよ。オーダーがなかったからです」
「コロナ禍もあって東京オリンピックでうまくチームとしての強化ができなかった。
その反省からパリ五輪に向けて始まった。
でも、今までとあまりに流れが違うわけですよ。
担当者が代わってガラッと内容を変える。
それでよくなればいいけど、これもなくなった、
あれもなくなったみたいな状況なんです。
 (梅原孝之)委員長が作った当初のスケジュールを見ると
“チーム強化”を謳っているのに国内合宿が全く入っていなかったりする。
これでどうやって代表をチームとして強化するんだろうと皆で話し合いました」

不十分と思われる強化計画
 平井氏がリーダーに就任したパリ五輪プロジェクトチームが発足したのは昨年9月で、
梅原委員長が提出していた2023年度上期の国内強化計画について関与し始めたのは12月に入ってから。
すでに水連の予算折衝は終わっており、そこから手を加えるにも限界があった。
それでも遅まきながら今年に入って修正案を作成して委員長に委ねたものの、
その修正案は水連には提出されなかった。4月の代表選考会の後にも修正案の実施を要望したが水連は却下。
その影響もあるのか、福岡での世界水泳は芳しくない結果に終わった。