今年1月に初場所が終わって以降、安西は親方と話し合う機会を数回持った。

「そこではいろいろと“条件”を提案されました。“ヒデが部屋の中で一番下の扱いになるのはどうだ”とか“ヒデに誓約書にサインさせるのはどうか”とか。ただ、自分としては“一緒に生活するのは無理”と言い続けました。
その結果、どこかの段階で親方が“じゃあ辞めさせるか”となったのです。ただ、“さすがに断髪式くらいはやってあげねぇとなぁ”とも言っていましたが」

 結局4月になり、断髪式が行われることが決まる。まるで何事もなかったかのごとく、霧の富士は「円満退社」のような形で角界を去ろうとしていたわけだ