この名古屋場所は旭大星と水戸龍の互助会三役の2人が10勝4敗で並び、優勝争いを展開。しかし、千秋楽は水戸龍が豊昇龍の外掛けにコロリ、
旭大星も勝ち越しの懸かった大翔丸の押しに力なく土俵を割り、優勝決定は6人によるトーナメント戦にもつれ込む。そして奇跡は生まれるのである。
くじ引きの結果、水戸龍・千代ノ皇・旭大星の互助会員3人が東方に回り、対戦相手はみな立浪部屋の力士に。
「空気を読む」とはよく言ったものだ。東方互助会力士団は次々と敗退し、西方立浪軍団による同部屋巴戦とゆう超絶漫画展開を演出。8月2日の千秋楽の日に、十両はまさに祭りとなった。

 秋場所では、翔猿が新入幕で大活躍。さらに、会長も2年ぶりに幕内に返り咲き張りきっていたが、2日目の相撲でアキレス腱断裂の大怪我。
連続休場なら幕下陥落の危機だったが、強行出場した九州場所で8勝7敗と勝ち越し、ファンも胸を撫で下ろしたことだろう。
この間には、丸20年なかった15戦全敗が王輝、富士東と2場所連続出たり、部屋のコロナクラスターによるロックダウンで東龍と富士東が全休で翌場所番付据置など、静寂の土俵では記録も異例続きだった。

 今年は、夏場所の中止もあったが、年6場所制以降最少となる年間新十両が3人だけ。
そのかわりに、のべ18人の再十両があり、照ノ富士、千代鳳、北磻磨、常幸龍、宇良といった、大怪我や長期低迷からの感動的なカムバックが特にたくさん生まれた。
そして新年には、我らが二代目ネ申が、史上4番目のインターバルとなる28場所ぶりの幕内に狂い咲く。世の中は明けない夜でも、より多くの力士の日がまた昇る土俵のよき流れは、2021年も絶やさず続いてほしい。

【週刊互助】(2020年12月号)