■「引導を渡してやろうか」

 貴乃花親方のターゲットとなったのは、元付け人に限らない。あるときは指輪をした手で弟子の顔面を殴り、目の上をパックリ割ったこともあったという。
この件についても、部屋のみんなが知っている、と元付け人は証言している。

 陳述書には貴乃花親方の発言についての記述もある。

 日馬富士傷害事件の被害者である貴ノ岩は、地方場所の際、宿舎に同郷のモンゴル人の友人を連れ込んで、宿泊させていた。
宿舎は関係者以外、立ち入り禁止にもかかわらず、だ。しかし、あるとき、その友人が宿舎で貴乃花親方と鉢合わせてしまった。

 元付け人は16年の7月場所中に、貴乃花親方から、「最近、バスカ(貴ノ岩の愛称)どうだ?」と聞かれ、続けて
「親方な、バスカの友人と宿舎のトイレで鉢合わせたんだ。そういうことはよくあるのか?」と質問された。

 元付け人が「そうですね」と答えると、貴乃花親方はこう言ったという。
「そうか。もうアイツは十分稼いだから、そろそろいいだろう。引導を渡してやろうか」

 その7月場所中、普段は稽古場で細かく注意する貴乃花親方が、貴ノ岩に対しては何の指導もしなかったという。
 陳述書に記されている数々の証言は、果たして本当なのかどうか。

これらの証言が事実かどうか、貴乃花部屋に電話取材をするも、「この電話は迷惑電話防止のために録音されています」という音声が流れたきり、呼べども誰も出ず。
やむなく留守番電話に用件と連絡先を残したが、5日午後11時の時点で折り返しはなかった