2015.05.09 07:00

 5月10日から始まる大相撲夏場所が不穏な空気に包まれている。理由はモンゴル人力士たちの“内紛”だ。

 これまでモンゴル勢は基本的には横綱・白鵬や日馬富士の元に結束してきた。
しかし最近はその一団と一線を画す派閥がある。
春場所で白鵬を破って13勝を挙げて準優勝し、今場所に大関取りがかかる関脇・照ノ富士や、人気力士の小結・逸ノ城らが形成する「鳥取城北高グループ」である。

 同校は過去、琴光喜(元大関)、星風(元十両)など10人の関取を輩出した名門。
最近はモンゴルからの留学生も多いが、「高校OB会の結束が固く、他のモンゴル人力士と違って、巡業先で食事に行く時も白鵬のグループと交わることはない」(相撲担当記者)という。

 これはモンゴル人軍団のトップに君臨し、その結束を重視する白鵬には看過できないようだ。


 例えば4月29日の稽古総見。7000人の観衆の前で白鵬は三番稽古で逸ノ城に8連勝した。
メディアは「気合いの入った稽古」などと伝えたが、相撲ジャーナリストは違う見方だ。

「巡業や出稽古などでかわいがり、後輩に上下関係を植え付けさせるのは、古くからの角界の常套手段。
白鵬は“俺のほうが上だ”と見せつけ、従わせたかったのでしょう。
髷まで砂だらけになった逸ノ城の背中を払ってやっていたのが照ノ富士と、同じ鳥取城北出身の前頭・貴ノ岩だったのは象徴的でした」

 白鵬は照ノ富士にも目を光らせている。だが、少しアプローチは違うようだ。

「力で抑える“ムチ”ではなく“アメ”作戦。土俵入りの際の『太刀持ち』『露払い』への抜擢です。

 照ノ富士は同部屋の横綱である日馬富士の土俵入りでこれを務めたかったが、昨年、番付が上がってもやらせてもらえなかった。そんな照ノ富士を白鵬が同秋場所で太刀持ちに起用したのです。その後も九州場所での奉納土俵入りで起用しています」(前出・ジャーナリスト)