みずほ障害、混乱の16時間、報告書詳細、開店時間に間に合わず。
2021/09/02 日本経済新聞 朝刊

 みずほフィナンシャルグループ(FG)で8月19日夜に起きた機器故障に端を発したシステム障害は頼みのバックアップがことごとく
機能せず復旧に16時間を要した。日本経済新聞はみずほが31日に金融庁に提出した報告書を入手し、今年5度目となった障害に
みずほがどう対応したか再現する。
夜7時40分故障
 8月19日午後7時40分にディスク装置の一つが故障し、ミラーディスクに切り替わるとともにスペアディスクへのコピーが始まった。
午後8時52分に切り替え先のディスクでも故障が発生し、同53分に業務チャネル基盤で複数のエラーが起きた。同基盤の停止に伴
い営業部店端末のすべてが使えないことを踏まえ、午後10時2分に障害一報を発信した。
 国内営業部店の運営を統括する法人業務部・個人業務部は同午後9時23分に企画管理部から障害情報の共有を受け、速やかに
翌20日の営業部店での対応を検討した。午後10時30分以降、継続的に開かれた部会などで状況を把握し、午後11時10分には
法人業務部・個人業務部はエリア長らとのミーティングを始めた。
 20日の営業開始までに復旧作業が終わらない場合に備え、営業部店の役職者以上を翌朝の午前7時30分までに出勤させると
判断し、午後11時29分に営業部店長に指示した。20日午前6時の第2回非常対策PT会議で、システムの復旧めどは午前11時
で、開店時間を超過することが判明した。
 顧客への告知とコールセンター開設を午前8時30分とし同時刻にホームページに告知掲載した。メディアへの情報発信はホーム
ページ掲載にあわせて各社に連絡した。記者会見対応は、度重なる障害に伴うおわびを含め適切な状況説明が必要との観点から
必要な要員をあらかじめ確保した。
不正引き出しも
 20日午前10時45分ごろ、坂井辰史社長、藤原弘治頭取を主な説明者とする記者会見を同午後5時から開く方向で検討を始め
た。店頭などでは大きな混乱にこそ至らなかったが、システムの全面復旧は午前11時58分となり、国内の他行向け円建て、海外
向け円建ての仕向け送金で、日銀ネットの稼働時間内に送信が終わらなかった。
 19日午後11時42分にカードの紛失登録依頼の電話を受けたものの、端末による紛失設定ができず20日午前8時57分に他行
ATMで50万円が引き出される不正も起きた。