変革に挑む2019(1)メガ銀、IT企業とどう付き合う?―三井住友FG国部毅社長、新分野創出へ提携拡大。
2019/01/08 日本経済新聞 朝刊

 ――2019年度は中期経営計画の最終年度です。何に挑みますか。
 「今年3月末に(健全性の目安としていた)中核的自己資本比率10%程度という財務基盤の強化を前倒しで達成できる。これからは
生み出した資本を将来の成長と株主への還元に使うステージ(局面)に入っていく」
 「デジタル化やキャッシュレス化への成長投資に加え、M&A(合併・買収)も検討する。証券や資産運用の分野で次のステップが必
要になるほか、アジアの商業銀行、航空機や鉄道貨物車両のリース会社も買収候補だ」
 ――異業種から金融業参入が相次いでいます。
 「金融庁の規制緩和が前提だが、我々は金融グループの範囲や機能を広げていきたい。自前主義にこだわらず、ベンチャーや技術を
持つ企業と組んで新しい金融サービスを創りたい」
 「テクノロジーの進展とデジタル化がビジネスモデルを大きく変えるインパクトを持つ。新しい時代にどう成長していくのか、(20年度か
らの新しい中期経営計画で)示したい。そのために新中計の議論が始まる段階で新社長を(太田純氏に)任命した」
 ――膨大な顧客基盤を抱える新興勢にどう対抗していきますか。
 「対抗するというよりも、どう組んでいくかということだと思う。分野によって提携先を変えながら、ビジネス化できるプラットフォームをどう
構築できるかを考えていく」
 「我々はGMOペイメントゲートウェイと(多様なキャッシュレスの支払い方法に応じ、大量の決済データを処理する)新しいプラットフォー
ムをつくる。NTTデータやアイルランドのベンチャーとは(パスワードの代わりに指紋や声で本人を確認する)生体認証の技術を企業に採
用するよう呼びかけている。金融グループが黒子役にとどまっているだけでは、ビジネスのメリットがどれだけあるのか疑問だ」
 ――金融市場が不安定になってきました。
 「少し流れが変わってきた感じがする。19年以降は守りの要素も必要だろう。同時に市場が大きく動くときはビジネスチャンスでもある
ので、『攻めと守り』の姿勢で臨みたい」