5大銀、前期24%減益、市場部門の不振響く。
2019/05/16 日本経済新聞 朝刊

 大手銀行5グループの2019年3月期の連結決算が15日、出そろった。純利益は合計で2兆449億円と前の期に比べ24%減った。
減益は2期ぶり。米長期金利の上昇(債券価格は下落)による外国債券の含み損の処理など市場部門の不振が響いた。基幹システム
の減損や外債処理などで6954億円の損失を計上したみずほフィナンシャルグループ(FG)が、前の期比83%減となり全体を押し下げた。
 三井住友トラスト・ホールディングスを除く4グループが最終減益だった。
 みずほFGの坂井辰史社長は「変化する顧客ニーズと長年の業務運営で構築された営業体制との間にミスマッチが生じ構造課題とな
っている」と説明した。
 傘下銀行の本業のもうけを示す実質業務純益の合算は計1兆7916億円と12%減で4期連続の減益だった。低金利が収益を圧迫し
ており、本業である貸出金利から調達金利を引いた国内の預貸金利回り差は単純平均で0・84%と1年前に比べ0・02ポイント低下した。
 さらに米連邦準備理事会(FRB)による利上げを背景に米長期金利が上昇したことで、投資を進めてきた米国債の価格が下落。みずほ
の巨額の売却損の計上が響き、傘下銀の国債等債券損益は計738億円の損失を出し、前の期から損失幅を600億円弱広げた。
 18年3月期は過去に積んだ引当金を中心に、計約2840億円の与信関係費用が利益として戻った。前期は戻し入れによる押し上げ
効果が一巡し、利益を押し下げた。三井住友フィナンシャルグループの太田純社長は米中貿易摩擦を念頭に「特定の地域や産業、業種
で信用コストが大きく増える状況ではないが、世界経済の先行きに不透明感がある」と述べた。
 大手5行の2020年3月期の予想純利益を合算すると、連結純利益は2兆4100億円で、前期比で18%増えるが、18年3月期(2兆
6908億円)を下回る。銀行業界は今期以降も厳しい経営環境に直面する。