COLUMN-〔BREAKINGVIEWS〕仏政府が身を引くのが最良、ゴーン容疑者逮捕に揺れるルノー

これはルノーにとっても、ルノーの15%株式を保有するフランス政府にとっても、好ましくない事態だ。
最悪の場合、日産との提携が解消され、ルノーは電気自動車(EV)への移行で利益を上げる準備の整わない弱小メーカーに堕ちてしまう。
これより少しましなのは単にルノーと日産が不平等な資本関係の見直しに失敗するケースだ。
むしろフランスにとっては、保有するルノー株を手放すのが良い。フランス政府の口出しは、ルノーと日産の合併を妨げる要因の一つになっている。
ロスチャイルドの元バンカーであるマクロン大統領が、ルノーへの政府出資を引き揚げれば労働者よりも投資家を優先したと受け止められ、
政治的に難しい立場に立たされる恐れがあるのは確かだ。しかし雇用を保証すればこうした打撃は緩和されるし、保有株の売却益も緩衝効果を持つだろう。
日産との合併が俎上に上れば、ルノーが保有する日産株の価値は高まるだろう。
一方、ルノーと合併したからといって規模の大きい日産側が必ずしも統合後の新会社を牛耳るとは限らない。
日産は保有するルノー株の分を差し引くと、過去3カ月の株価に基づく時価総額が167億ユーロ。ルノーは保有する日産株の分を除くと企業価値が171億ユーロで、対等合併には十分な水準だ。
ルメール経済・財務相は21日、フランス政府は日産との提携強化を望んでいると述べた。最も確実なやり方はフランス政府が身を引くことだ。