しかしながら残念なことに既婚者の本音ベースでの満足度は低い。
既婚者は立場上、往々にして個人としての自由や時間を確保しにくく、そのことが潜在的に個人としての心のゆとりを静かに蝕んでいくと共に、どんなに身を粉にして家族のために尽くしても満たされない、報われない、感謝されない、理解すらされないという思いばかりが徐々に募っていき、そしてなによりそんな相手を選んでしまったのは自分自身であるという逃げ場のない思いが更に追い討ちをかけ、それ自体が心の支えであったはずの至上の愛と言うべき自己犠牲からなる脆い歯車は、一度狂い出してしまうと全てが音を立てて崩れ出してしまう。
この段階になって、心のどこかで自由奔放に生きる独身者を羨む気持ちを押し殺し、その本音を掻き消すように独身者を見下すことで心の安定や自己肯定感を得ようとしてももう後の祭りである。
人生においてはそこに流れる時間そのものが最大の資産であり、
その資産をどのように振り分け、如何に有意義に使うかによって人生の価値が決まると言える。

特にコロナ渦以降、ワークスタイルの多様化、社会的な枠組みの急激な変化により、中間層の地盤沈下がより一層進んだ一方で、既婚男性の平均月収あるいは平均年収の中央値を、日給もしくは時給単位で稼ぎ出す独身者も続出している。
家庭持ちであるが故の会社や事業への帰属意識が足枷となり、思うように身動きが取れないまま、時流の変化に対応しきれず転落していってしまうケースも散見され、
そういったケースはこれからも益々増えていくことが容易に想像される。

これまで持て囃されてきた俗世間的な考えや常識といったものが、もはや常識として通用しづらくなってきたまさに今、
不倫天国日本。
離婚大国日本。の生き方や働き方に対する基本的価値観が根底から覆ろうとしている。