全国で公立幼稚園の閉園続く 福岡でも6園 定員に満たず、財政負担も 園児ら別れ惜しむ [福岡県]
2018年03月15日06時00分 (更新 03月15日 12時01分)
 福岡市立幼稚園6園が今月末に閉園する。園児数が定員の半数に満たないことや、私立幼稚園で市内の園児を受け入れられることなどが理由で、
北九州市や熊本市など全国的にも公立幼稚園の閉園が続いている。14日は福岡市内5園で閉園式があり、最後の卒園生計118人や地域住民らが
思い出の園舎との別れを惜しんだ。
 市内で閉園するのは、赤坂(中央区)、和白(東区)、姪浜(西区)、内野(早良区)、入部(同)、2001年度から休園中の脇山(同)の6園。残る雁の巣
(東区)、金武(西区)の2園は来年3月に閉園する。跡地はそれぞれ、隣接する小学校施設や、教育関連施設として活用される予定。
 市教育委員会によると、市内の3〜5歳の人口は1975年度の5万3千人をピークに減少。市立幼稚園の園児数も80年度の727人から減り続け、
16年度に337人と定員の半数を割った。私立幼稚園の園児数は2万294人(17年5月現在)で定員充足率は約82%。市立幼稚園児をすべて受け
入れられるという。
 市の財政負担額(私立にも補助)は、園児1人当たり市立幼稚園で約60万円(16年度)。私立の4・5倍に上る。
 保護者が負担する額については市はこれまで、平均すると私立が市立の約1・8倍になるが、今後は国が幼児教育に関わる保護者負担を軽減し
無償化に段階的に取り組むことにしているとして「(私立でも)保護者負担額はさらに少なくなると見込まれる」と説明。06年に包括外部監査から「存続
の根拠が不足」との意見を受け、市は15年に市立幼稚園の廃止を正式決定し、18年春卒園生以降の募集は停止していた。
 この日、65年の歴史に幕を閉じる赤坂幼稚園では、卒園式に引き続き閉園式を開催。田中栄司園長は「地域に親しまれた幼稚園が幕を閉じるのは
万感の思い。輝かしい足跡はいつまでも受け継がれる」とあいさつ。自身と子ども2人が同幼稚園出身で、妊娠9カ月という城南区の斉藤さおりさん
(36)は「次の子も通わせたかったけど、残念。いっぱい遊べる自由な幼稚園でした」と振り返った。
=2018/03/15付 西日本新聞朝刊=
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/401248/