https://number.bunshun.jp/articles/-/845996?page=3

【もう1つ大きな武器も手に入れた】
また、この新しいフォームの習得により、もう1つ大きな武器も手に入れた。
それは中国選手をもノータッチで打ち抜く横回転(シュート)のかかったドライブだ。

これまで張本のバックハンドストレートは、タイミングが早く台のコーナーへの最短距離を
直線的に突き抜けていくものだった。ところが肘を低くして打つ新フォームは、
右利き選手のフォアサイドへ曲がって逃げていくシュート回転がかけやすく、
「速くて取れない」ボールに加え、「曲がって届かない」ボールも使えるようになったのだ。

前述のワールドカップ準決勝でも、馬龍のフォア側を張本のバックハンドが何本もノータッチで抜けていった。

【現段階はまだ“未完の大器”】
先に張本のフォアハンドのフォームに問題点があったと指摘したが、
意味もなく放置されていたわけではないことを補足したい。

世界の頂点へと上り詰めようとするならば、チャンスボールを一発で決めるだけの
パワーが必要になる。今回ワールドカップで敗れた馬龍をはじめ、
世界の頂点に君臨する選手にはそれがある。

そして勝負の場面でその一撃を繰り出せるようにするには、
プレッシャーのかかる場面でラケットを振り切る経験が必要になる。

張本は天賦の才を持ったが故に、若くして世界の舞台での勝利を期待される立場となった。
中間的なフォアハンドを早くから覚えれば、確実に勝てる手を選択する場面が増え、
“世界を獲る”という夢の実現に必要な成長機会を失いかねない。

2020年、コロナ禍8カ月でのフォーム改造は「世界一の選手となり、歴史に名を刻む」ための、
強い意志を持ったキャリア戦略だったと考えられる。

あまりの強さゆえ既に大成したような錯覚を人に与えるが、現段階の彼は未完の大器だ。
期待と敬意を込め、敢えて申し上げたい。

「張本智和は成熟へ向けての一歩を踏み出したばかりだ」と。

https://twitter.com/o_takahiro0212
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)