■知られざる世界権力の仕組み 寄生体シンジケートが富と権力を握る 1992年出版(著者)ユースタス・マリンズ■

第八章 慈善事業を隠れ蓑にするペテン財団の全犯歴

P303 ◇フロイトの人間操作主義を利用したタヴィストック研究所◇

汎ヨーロッパ同盟はクーデンホーフ・カレルギー伯爵が創立〔1922年〕し、ロスチャイルドとウォーバーグの資金援助を受けたが、
その目的はヨーロッパに寡頭支配体制を回復することであった。

この目標を達成するためには、寡頭支配に真っ向から対立する強力な共和(きょうわ)主義の潮流の勢いを去勢し打破することが必要だった。
共和(きょうわ)主義の潮流は14世紀のルネッサンスにはじまる。
ルネッサンスは、人間の精神の自由を重んずることによって、人間の歴史においてもっとも偉大な文化を噴出させた。

精神の自由を重んずる個人主義は、ただちに民族主義となって表れた。
民族主義が持つ共和的精神は、もっぱら人民の生活に対する封建領主の恣意的な世襲の支配権および独裁権に止めを刺すことに振り向けられた。
そして、共和主義の精神は合衆国憲法のなかにいとも高らかに謳いあげられるにいたる。合衆国憲法は反乱の結果だったのだ。

現在、ヨーロッパを支配する一族は1694年にイングランド銀行に特許状を付与したオレンジ公ウィリアムの直系子孫たちである。
民族主義と個人主義とを破壊しようという運動は、これまで彼らの巣窟である英国から指令を受けてきた。
それが具体的なかたちとなって表れたのが共産主義運動だった。

世界権力(秩序)は寡頭制による世界支配を回復するため、両次の世界大戦を計画し実行した。
その世界支配、ボルシェヴィキ体制とか国際連盟とか国際連合とかさまざまに呼ばれるが、世界権力(秩序)と呼ばれることだけはけっしてない。
このような世界的な運動が英国のコントロール下にあることは、アメリカの財団が奉じるイデオロギーのなかにははっきりと示されている。
そして、このイデオロギーを創作したのがロンドンにあるタヴィストック人間関係研究所なのである。

1921年、タヴィストック侯爵の第11代ベッドフォード公爵は、第一次世界大戦から生還した英国兵士たちの戦争神経症の症状を研究する研究施設として、建物一棟を寄贈した。
この研究所の目的は、ストレスにさらされた人間の「臨界点」がどこなのかを理論的に見極めることにあった。
研究は英国陸軍心理戦争局の管理下に置かれ、サー・ジョン・ローリングズ・リースの指揮に委ねられた。

タヴィストック研究所がロンドンに本部を置いた理由は、タヴィストック研究所の予言者となったジグムンド・フロイト〔1856〜1939。オーストリア生まれ〕
が1938年に英国に亡命した際、ロンドンのメアズフィールド・ガーデンズに居を構えたからである。
フロイトの屋敷はボナパルト王女から提供されたものだった。