自みずから校正を加え、福翁自伝と題して、昨年七月より本年二月までの時事新報に
掲載したり。本来この筆記は単に記憶に存したる事実を思い出ずるまゝに語りしものなれば、恰あたかも一場の談話にして、固もとより事の詳細を悉つくしたるに非あら
ず。左されば先生の考かんがえにては、新聞紙上に掲載を終りたる後、更さらに自み
ずから筆を執とりてその遺漏いろうを補い、又後人の参考の為ためにとて、