『週刊朝日』2017年5月5−12日合併号

【旧制一中の系譜を受け継ぐ公立名門校の実力】

 旧制一中でありながら2008年に中高一貫校化、初年度から約27倍という驚異的倍率をたたき出して世間を驚かせたのが県立千葉であった。

 中高一貫校化によってもたらされた変化を県教育委員会に聞くと、「千葉中学校から千葉高校へ進学した生徒(内部進学生)も他の中学校から進学した生徒(外部進学生)もどちらもたいへん優秀な生徒であるが、内部進学生は学校にも慣れ学習面でも行事、特別活動でも非常に積極的な生徒が多い傾向がある。外部進学生は、各中学校のトップクラスの学力と誇りをもっている。どちらの生徒にも良さがあり、お互いに認め合い、刺激し合い、高め合って生活している。以前よりも多様な生徒が入学しており、教員はより丁寧な対応をし、これまで以上に『自主・自律』の精神が身につく環境づくりに努めている」とのこと。

 ただし、県立千葉は、放課後の補習や夏季講習などの大学受験指導をしないというポリシーで有名。「授業第一主義」「本物に触れる」「重厚な教養主義」を掲げるのは旧制一中のプライドのようにも見える。県が行った外部識者による評価によれば「いわゆる受験エリート校とは一線を画した独自の教育を実践しており、海外への指向をより強く持った生徒が育つなど、成果を上げている」とのこと。旧制一中の誇りと伝統を保持しつつ、新しい時代の高校へと変化しようとしていることがわかる。