『河北新報』2021年3月30日(火)朝刊

【復活へ切り込む 東洋刃物の震災10年】
【@喪失 工場壊滅「復旧無理だ」】
産業用刃物製造の東洋刃物(富谷市)は、東日本大震災の津波で仙台港近くに構えていた
本社と主力工場が壊滅的な被害に遭い、社員1人を失った。世界水準の高い技術力を武器に、
苦境から復活へと歩んできた老舗メーカーの震災10年を振り返る。
・・・・・
立っていられないほどの揺れが襲う。2011年3月11日午後2時46分、清野芳彰社長
(70)=当時取締役管理部長=は、社長だった庄子公侑(*)(まさゆき)さん(77)
らと2階建て本社棟の1階にいた。床に伏せ、すぐデスクの下へと潜った。
・・・・・
【従業員奮起 再開へ】
・・・・・
「直せる機会は直して工場を再開させる」。3月下旬、当時社長の庄子さんは集まった
従業員に伝えた。専務だった高橋允(まこと)さん(73)は「従業員たちの姿に
助けられ、勇気をもらった」と振り返る。
・・・・・

(*)仙台一高卒