木村は1950年2月5日、名古屋市で生まれた。被差別部落に生まれたのだが、木村がその
ことを知ったのは後のことである。
地元の白山中学卒業後、菊里高校を中退。一宮市内の寿司店で住みこみで働き始め、22歳
の時蟹江町の別の店に移った。そこの店で、主人に見こまれ、その娘と結婚して店を任され
るようになった。木村は真面目に仕事に励み、子どもも2人生まれるなど幸せな生活を築きつ
つあった。
 ところが1977、8年ごろから、木村は競馬、競輪に入れこむようになった。ギャンブルは、妻
に頭があがらず生き抜きに覚えたというが、次第に仕事をさぼって繰り出すようになる。借金は
3000万円にも膨れ上がっていた。さらにこの頃、愛人を作り、毎月20万円もの生活費を渡して
いた。

 不相応な生活から金銭的にも行き詰まっていた木村はやがて誘拐を計画する。そこで早百
合さんが投稿していた中日新聞の告知板が目をつけた。金城学院大学と言えば、お嬢さん学
校として知られており、親は金を持っているはずだと考えた。ヒントにしたのは11月7日に東海
テレビの「ゴールデン洋画劇場