しかし、だからといってドラゴンは人間の永遠の敵ということにはならない。錬金術の寓意画にはしばしばドラゴンが象徴獣として登場するが、そのもっとも重要なものはみずからの尾を咬んでいるウロボロス(宇宙蛇)である。発端にあった蛇(渾沌)と終末にくる蛇(渾沌)とは一つの円環となって結びつく。これが賢者の石もしくは完全性の象徴である。円環が結ばれるとき賢者の石探究の道士は象徴的に地上を去って、高次の不滅の精神の王国に移り住む。とはつまり、二度目にドラゴンがやってくるときに私たちが移り住むべき世界は、ありようはこうした魅せられた仙境なのだ。」