ブラウンフィールド型スマートシティは、住民が生活している既存の都市を対象に、住民の合意を形成しながら、都市や街区が抱える課題を、デジタル技術や新たなルール・制度を適用して解決していく手法である。既存の都市を上空から俯瞰した様子が褐色に見えることから“ブラウンフィールド”と呼ばれるようになった。

 2008年頃から世界各地で始まったスマートシティの取り組みは、そのほとんどがブラウンフィールド型だった。前回説明したように、スマートシティはもともと、都市のエネルギー問題をデジタル技術で解決する取り組みから始まった。その後、ゴミ処理など環境全般に領域が拡大し、さらに既存都市が抱えるあらゆる課題を解決するスマートな街づくりへと発展してきた。

 ブラウンフィールド型スマートシティは世界各地に存在している、デンマークのコペンハーゲン、米国のニューヨークやサンフランシスコ、コロンバス、カナダのトロント、アラブ首長国連邦のドバイ、シンガポールなどだ。これらのうち、海外の代表例とされるのが、オランダの首都アムステルダムの取り組みである。