こうなると、もう眠るどころではありません。
いつものように周囲に何もないのを確認して、「ほら、お前のただの妄想だったんだぞ」と安心したいのですが、本当に目撃してしまう実感があると、目が開けられないのです。
その間にも、それの存在感はずっと側にあり続けました。
それが堪らなく怖くって。
私は布団を頭から被って、手探りでスマホを手に取って、YouTubeのふざけた動画を布団の中で再生しました。
Vtuberの楽しげな笑い声が布団の中に響いても、全然恐怖が拭えないんです。
だって、すぐそこに居るのが分かるんですよ。絶対に居るんですよ。
何をしてくるわけじゃなくても、ずーっとそこに気配が残ってる。

明け方に存在感が突然消えてしまうまで、私はずっとそうやって震えていました。
恐る恐る布団から出て部屋を見回した時の恐ろしさと安堵感は、なんと言い表して良いか……。