昌彦語る

親父が居間で呆けたようにテレビ見詰めてるのをみて、親父も早晩痴呆症になるんだよなって心配になったわ
もしそうなったら施設に放り込むにしても、まとまった金額が奪われるからな
それは俺の未来の金なんだよ
座敷牢でも作って、そこで囲い込むのが一番安上がりかと思うが、手間暇掛かるし面倒くさいわ
少しでも普通に生活してぽっくり逝ってくれることを望む俺は悪人か?
俺はボーッとテレビを見ている親父に近づいて耳元で囁いたよ
まだまだ元気でいてくれよってね
親父が臭っていったので、俺は手で囲いを作って息を吹き込み嗅いでみると、スゲー臭かった

そう言うと昌彦はタバコに火を点け深く吸うと、遠い目をして空を見上げた